あてのない旅を続ける無宿渡世人・木枯し紋次郎は、旅の途中で六地蔵の立つ場所に足を止める。そこで出会った人々の様子にはどこか不自然なところがあり、紋次郎は土地にまつわる過去の出来事を感じ取ることになる。
六地蔵をめぐる人々の関係をたどるうち、表面には現れていなかった因縁が次第に姿を現す。誰もが語ろうとしない過去には、それぞれの思惑や哀しみが絡み合っていた。紋次郎はいつものように深入りを避けようとするが、事件は彼を放ってはおかなかった。
旅先で出会った人々の隠された事情と、そこから浮かび上がる人間の業を描くのが本作の魅力。六地蔵という印象的な場所を背景に、過去と現在が交錯し、紋次郎の孤独な旅に新たな事件が刻まれていく。人情に流されることなく、自分の道を歩き続ける紋次郎の姿が心に残る一編である。
