食品会社「丸養ハム食品」の営繕課で、三度にわたる連続殺人が発生する。事件は会社のイメージを大きく損ない、経営陣は対応に追われ、社員の間にも動揺が広がっていく。事件の責任を問われた営繕課長・佐竹は、北海道へ左遷されることになる。
佐竹を慕っていた人妻・律子は、突然遠く離れた土地へ去ることになった彼の身を案じる。会社という閉ざされた組織の中で起きた連続殺人と、そこに関わる人々の思惑は、単純な事件捜査だけでは捉えきれない複雑な様相を見せていく。左遷という人事の裏側にも、さまざまな疑念が浮かび上がる。
企業組織の論理と、そこで生きる人間たちの欲望や保身、愛情を絡めながら事件を描くところに本作の魅力がある。連続殺人の謎だけでなく、会社という社会の縮図を舞台に、人間関係の緊張を鋭く描き出した本格推理小説。ビジネスマンの生態にも踏み込んだ、社会派サスペンスの趣を持つ一作である。
