三度笠に道中合羽、長い楊枝をくわえ、あてもなく旅を続ける無宿渡世人・木枯し紋次郎。幼馴染みの兄弟分に裏切られて島流しとなった紋次郎は、島で「赦免船が来る」という噂を耳にする。赦免花が咲けば、刑期を終えた者を迎える船が来るという言い伝えだった。
しかし、紋次郎の運命は思いがけない方向へ動き始める。島で出会った人々との関わりや、過去の因縁を胸に、紋次郎は島抜けを決意する。江戸へ戻った彼を待っていたのは、かつて死んだと思っていた女にまつわる意外な出来事だった。
記念すべき「木枯し紋次郎」シリーズの第1話として、孤独を背負いながらも自分の信念を貫く紋次郎の人物像が鮮烈に描かれている。ミステリーの謎解きと時代小説の情緒を融合させ、裏切り、義理、人情、そして人間の哀しさを浮かび上がらせる一作。紋次郎の旅の原点となる物語である。
