
笹沢左保の長篇ミステリー『人喰い』が、双葉文庫から2018年5月10日に発売されました。
熾烈な労働争議が続く「本多銃砲火薬店」の工場で働く花城佐紀子の姉・由記子が、遺書を残して突然姿を消します。遺書には、会社社長の一人息子・本多昭一と心中することをほのめかす内容が記されていました。ところが失踪から二日後、昭一の遺体が山梨県の昇仙峡で発見され、由記子には殺人の疑いがかけられます。
姉の無実を信じる佐紀子は、由記子の同僚であり恋人でもある豊島とともに、姉の行方を追い始めます。しかし、捜索を進めるなかで工場ではさらに事件が発生。会社をめぐる激しい労働争議、複雑に絡み合う人間関係、そして相次ぐ殺人によって、事件は次第に予想もしなかった方向へと動き始めます。
果たして由記子はどこへ消えたのか。そして昭一は本当に殺されたのか。佐紀子が姉の足取りを追うにつれて、事件の背後に潜む人々の思惑と、互いに相手を利用し、陥れようとする人間の欲望が浮かび上がってきます。やがて、誰が誰を追い詰め、誰が「喰う側」と「喰われる側」なのか、その構図そのものが大きく揺らいでいきます。
人間同士が互いを利用し、踏み台にしながら生きていく姿を「人喰い」という言葉に重ね、労働争議を背景に殺人と愛憎が複雑に絡み合う長篇ミステリー。二転三転する展開と巧みな仕掛け、そして人間の欲望や弱さを描いた筆致が光る、第14回日本推理作家協会賞受賞の傑作です。
『人喰い』
著者:笹沢左保
出版社:双葉社
レーベル:双葉文庫
発売日:2018年5月10日
ISBN:978-4-575-52112-2
価格:672円(税込)
サイズ:文庫
