あてのない旅を続ける無宿渡世人・木枯し紋次郎は、旅の途中で女人講の一行と出会う。信仰や結びつきによって行動をともにする女たちの間には、外からはうかがい知れない事情があり、紋次郎は思いがけずその騒動に関わることになる。
女たちはそれぞれに胸の内を明かそうとせず、事件の背景には複雑な人間関係と過去の因縁が絡んでいた。紋次郎は深入りするつもりもなく旅を続けようとするが、次第に事件の核心へと引き寄せられていく。女人講という閉ざされた人間関係の中で、何が起きていたのか――紋次郎は鋭い目でその闇を見つめる。
女人講という独特の集団を舞台に、女たちの思惑と隠された事情を描いた本作。表面上は穏やかに見える人間関係の裏側に疑惑が重なり、紋次郎の旅が思わぬ事件へとつながっていく。義理や情に流されず、自らの信念を貫く紋次郎の姿と、人間の業や哀しさを描く物語が印象に残る一編である。
