ある事件をきっかけに、関係者たちの証言と行動が少しずつ食い違い始める。事件そのものは単純に見えていたものの、調べが進むにつれて、それまで明らかだったはずの事実に疑問が生じていく。誰の言葉を信じるべきなのか、そして本当に事件を動かしている人物は誰なのか。捜査する側もまた、確かな手応えをつかめないまま真相を追うことになる。
事件の周囲にいる人物たちには、それぞれ隠された事情があり、ひとつの証言が新たな疑惑を生み出していく。真実だと思われた出来事が別の意味を持ち始め、読者が組み立てた推理さえも揺さぶられていく。人間関係の裏側に潜む思惑が、事件の構図をさらに複雑なものへと変えていく。
次々と前提を覆しながら物語を進める構成に、本作ならではの面白さがある。タイトル通り、物語の先に待つ「どんでん返し」を意識させながら、最後まで読者の推理を翻弄する。予想を裏切る展開と人間心理を組み合わせた、笹沢左保らしい長編ミステリー。
