東京のホテルに勤める川津美穂子は、婚約者の出張に同行して北海道へ婚前旅行に出かける。ところが婚約者の留守中、オコタンペ湖を訪れた美穂子は樹海で謎の男に襲われる。現場に残されていたのは、「T・T」と記された懐中電灯だった。美穂子は事件のことを婚約者に打ち明けられないまま、秘密を抱えることになる。
やがて美穂子は、自分が襲われた現場近くの支笏湖畔で、一カ月前に自分と瓜二つの女性が殺されていたことを知る。さらに、婚前旅行の直前には鹿児島の池田湖畔でも殺人事件が起きていた。北海道と鹿児島、二つの湖畔で起きた事件と、自分自身が巻き込まれた事件に何らかのつながりがあるのか。美穂子は残された手がかりを追い始める。
複数の湖畔殺人と一人の女性をめぐる不可解な事件を軸に、男女の愛情や秘密、揺れ動く心理を描くところに本作の魅力がある。美穂子の身に起きた出来事と、瓜二つの女性の死がどのように結びつくのか。官能的な人間ドラマとミステリーを融合させた、「悪魔シリーズ」ならではの異色の長編サスペンス。
