新宿淀橋署の宮本部長刑事と、本庁からやって来た佐々木警部補。年齢も容姿も経歴も正反対の二人は、名前から「宮本武蔵と佐々木小次郎」にたとえられるほどのライバル同士だった。叩き上げの経験を武器とする宮本と、鋭い論理を得意とする佐々木は、事件に対する見方も推理の組み立ても大きく異なっている。
そんな二人のもとに持ち込まれるのは、新興成金の社長秘書殺害をはじめとするさまざまな難事件。日本刀、日曜日、美容師、結婚式、山百合、用心棒、放火魔を題材とした七つの事件で、それぞれの推理が真っ向から対立する。経験を重視する宮本と、論理を積み上げる佐々木。二人が導き出す答えのどちらが正しいのか、事件ごとに緊張感のある推理合戦が繰り広げられる。
一つの長編を読み切るのとは異なる、七つの事件それぞれに仕掛けられたトリックと意外な結末を楽しめるのが本作の魅力。対照的な二人の刑事を中心に、謎解きそのものに重点を置いた本格推理を連作形式で味わえる。笹沢左保の本格推理へのこだわりが凝縮された、個性的な短編集である。
