殺人事件が発生し、捜査線上に浮かび上がったのは、犯人と目される一人の男だった。しかし、男には犯行時刻を裏付ける確かなアリバイがあり、その証言をしたのは警視庁の伊勢波邦彦警部。自らの記憶と証言によって容疑者のアリバイを認めることになった伊勢波は、事件に大きな疑問を抱く。
自分が証明したアリバイだからこそ、その盲点を見つけなければならない。伊勢波は事件を一から見直し、関係者の証言や行動を丹念に調べ始める。捜査を進めるほどに、表面上は揺るぎないと思われたアリバイの裏側に、いくつもの疑問が浮かび上がってくる。
自らの証言が事件の壁となるという逆説的な設定と、その壁を自ら崩していく伊勢波の推理が本作の大きな魅力。緻密なアリバイの構築と、その盲点を探る論理的な捜査を軸に、読者にも推理を促す本格ミステリーに仕上げられている。伊勢波邦彦という個性的な警部の魅力も存分に楽しめる、シリーズ第2作。
