白昼の交差点で、かつての愛人・緋紗江を見かけたものの、突然姿を消したと語った凉子の兄。その直後、兄は殺害され、家族の平穏は一変する。兄の死をめぐって疑惑が生まれる中、妹の凉子は事件の背景を明らかにしようと動き始める。
凉子は兄の親友・瀬田の協力を得て、兄と関係のあった緋紗江の行方を追う。彼女の足取りは東京から遠く離れた九州へと広がり、事件の謎は複雑さを増していく。関係者の証言や行動を調べる中で、二人は巧妙に組み立てられたアリバイの壁に向き合うことになる。
突然の殺人によって揺さぶられた家族の姿と、事件の背後に潜む人間関係を描く本作。消えた女の謎と、遠く離れた場所を結ぶアリバイの構造が読者の推理心を刺激する。笹沢左保が得意とする本格的な謎解きと人間ドラマが融合した、読み応えのある長編推理小説。
